本日は、皆様の大切な資産である土地取引に大きな影響を与える、非常に重要なお知らせがございます。去る2025年5月26日より、福岡市において「宅地造成及び特定盛土等規制法」、通称「盛土規制法」に基づく規制区域の指定及び条例が施行され、許可等の運用が開始されました。

この新しい法律は、盛土の崩落による災害から国民の生命・身体を守るために制定されたものです。そして、特に福岡市民の皆様に知っておいていただきたいのは、福岡市では市全域がこの規制の対象となるという点です。

特に、高低差のある土地や傾斜地を含む土地の取引をされる際には、これまで以上に十分な注意が必要となります。

盛土規制法とは?

まず、盛土規制法について簡単におさらいです。これは「危険な盛土などを全国一律の基準で包括的に規制する法律」です。これまで規制が十分でなかった盛土行為にも網がかけられ、より安全な土地利用を目指すものです。

福岡市における盛土規制法:知っておくべき最重要ポイント

今回の法改正で、福岡市では以下の点が特に重要になります。

  1. 福岡市全域が規制区域に! 福岡市の基礎調査の結果、市全域が「宅地造成等工事規制区域」または「特定盛土等規制区域」のいずれかに指定されることになりました。「一部の特別な地域だけ」ではなく、市内全域でこの法律の影響を考慮する必要があります。

  2. 2種類の規制区域 全域が規制対象といっても、一律の規制ではありません。大きく分けて以下の2種類の区域があり、それぞれ規制の内容や許可が必要となる工事の規模などが異なる場合があります。

    • 宅地造成等工事規制区域: 主に市街地や集落、その周辺など、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリアが想定されます。
    • 特定盛土等規制区域: 市街地や集落などから離れているものの、地形等の条件から、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリアなどが想定されます。
  3. 許可制度の導入と罰則 これらの規制区域内で一定規模以上の盛土や切土を行う場合、市の許可が必要になります。許可にあたっては、災害防止のための基準を満たす必要があり、違反行為に対しては厳しい罰則が科される可能性があります。

規制区域の詳細確認は必須!「福岡市ウェブマップ」を活用

「自分の土地はどちらの区域?どんな規制があるの?」という疑問が当然出てくると思います。

福岡市では「福岡市ウェブマップ」にて、ご自身の関連する土地がどちらの規制区域に該当し、どのような規制を受ける可能性があるのかを確認できます。 市内全域が対象となるため、このウェブマップでの事前確認が、土地取引や開発行為を行う上で不可欠と言えるでしょう。

(「福岡市ウェブマップ」で検索し、都市計画情報などの項目から盛土規制法に関する情報を探してみてください。)

宅建士からのアドバイス:土地取引における注意点

この法改正と「全域規制」という事実は、土地取引に以下の影響をもたらします。

【売主様へ】

  • ご所有の土地がどちらの規制区域に該当するかを正確に把握し、買主様へ告知する義務があります。
  • 「これまで特に問題視されていなかった土地」でも、新たな規制の対象となる可能性があります。売却価格や条件に影響が出ることも想定し、専門家にご相談ください。

【買主様へ】

  • 購入を検討している土地が、どちらの規制区域に該当し、どのような制限を受ける可能性があるのか、契約前に必ず確認しましょう。
  • 将来的な建築計画や土地利用計画に影響がないか、専門家の意見も参考に慎重な判断が必要です。

盛土規制法は、私たちの安全な暮らしを守るための大切なルールです。福岡市全域が対象となることを念頭に、正確な情報収集と、我々宅建士や土地家屋調査士、建築士といった専門家へのご相談を積極的にご活用いただき、安心して土地取引を進めていきましょう。

ご不明な点や、具体的な土地に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。