こんにちは豊島です。
つい先日、お客様から鉄骨造の耐用年数についての質問を受けました。
内容をまとめましたのでブログでも共有したいと思います。
鉄骨造の法定耐用年数
不動産の価値を税法上で計算するために国が定めた年数が「法定耐用年数」です。これは建物の構造や用途によって決まっており、減価償却費を計算する際に用いられます。鉄骨造は、骨格となる鉄骨の厚さによって以下の3つに区分されます。
ポイント
- 一般的に「軽量鉄骨」と呼ばれるものは19年か27年、「重量鉄骨」は34年と覚えておくと良いでしょう。
- この年数はあくまで税法上の基準であり、**建物の実際の寿命(物理的耐用年数)とは異なります。**適切なメンテナンスを行えば、法定耐用年数を超えても問題なく使用できます。
金融機関が見る耐用年数(経済的耐用年数)
金融機関が収益物件のローン審査を行う際に重視するのは、法定耐用年数を参考にしつつも、その物件が将来にわたって安定した収益を生み出せる期間、すなわち「経済的耐用年数」です。
ローン期間の一般的な考え方
金融機関は、融資期間を以下の計算式で算出することが一般的です。
この計算式の「耐用年数」には、法定耐用年数を用いることが多いですが、金融機関によっては独自の基準を設けている場合もあります。
具体例:
- 法定耐用年数34年(重量鉄骨)の築10年の物件の場合
34年 - 10年 = 24年
が融資期間の最長目安となります。
金融機関の視点でのポイント
- 法定耐用年数が基本: 多くの金融機関は、まず法定耐用年数を融資期間の上限を設定する上での重要な基準とします。法定耐用年数を超えての融資は、原則として難しいと考えた方が良いでしょう。
- 建物の管理状態を重視: 法定耐用年数の残りが短くても、大規模修繕の履歴や管理状態が良好であれば、金融機関は「経済的耐用年数」を長く見積もり、融資に前向きになることがあります。逆に、管理がずさんな場合は評価が厳しくなります。
- 金融機関による方針の違い: 金融機関によっては、法定耐用年数(特に19年や27年)よりも短く評価したり、逆に独自の基準で長く見たりすることがあります。例えば、耐用年数が残り少ない物件には融資をしない、あるいは頭金を多く求めるなどの対応があります。
まとめ
収益物件として鉄骨造の建物を考える際は、以下の2つの側面から耐用年数を理解しておくことが非常に重要です。
- 税務上の「法定耐用年数」: 減価償却の計算に使います。鉄骨の厚さで19年、27年、34年の3種類があります。
- 融資評価上の「経済的耐用年数」: 金融機関が融資期間を判断する基準です。**「法定耐用年数 – 築年数」**が基本ですが、建物の管理状態も大きく影響します。
物件の購入を検討される際は、登記簿謄本などで構造と築年数を確認し、法定耐用年数を把握した上で、金融機関に融資の相談をすることをお勧めします。ご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。